財界帝王は初恋妻を娶り愛でる~怜悧な御曹司が極甘パパになりました~
 どうしてこんなに惹かれてしまうのか。きっと十人いたら十人全員が私と同じ気持ちになるはず。

「溶けないうちに食べて」

 京極さんの前には、私のようなプレートではなくチョコレートとクッキーが盛られたプティガトーがある。彼があまり甘いものを口にしないのは知っている。

「はい」

 スプーンで爽やかな柑橘系のソルベをすくって食べた。

 プレートのスイーツがなくなり、食事の時間が終わりに近づく。

 ゆっくりワインと食事を楽しんだので、三時間近くが経とうとしており、時刻は二十一時。

 彼のプランではこれで私は自宅へ送られる。京極さんは飲んでいるので、ホテルの代行の運転手で。

「京極さん、大学も卒業したので、大人の世界を見てみたいんですが……」

「大人の世界?」

 私のざっくりとした物言いに、京極さんは微かに首を傾ける。

「ここのバーのような、大人の雰囲気が漂う場所に行ってみたいです」

「なるほど。紗世は一歩大人の世界へ足を踏み入れたいのか。わかった。社会勉強に良いだろう」
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