あの日の夢をつかまえて

第3話


将棋教室の授業時間が終わって。

創路くんが足早に私のもとへやってきた。



「お姉さん」

「はい?」

「お姉さん、澤田四段のなんなのさ」

「……えっ?」



『なんなのさ』と言われても。



「えっと……」



どう答えようか迷っていると、創路くんの後ろから山方先生が少し声を張って、
「こら!」
と、言った。



「だって先生ぇ!」



創路くんは口を尖らせて続ける。



「澤田四段のそばにいられて、うらやましいんだもん!!オレだってもう少し早く生まれてたら!!」

「早く生まれてたら、なんだっていうんだ」



山方先生が近づいてきた。



「オレは、澤田四段の友達になってたんだ」



悔しそうに言う創路くんに、
「友達?」
と山方先生が呟き、私を見た。



それから声をあげて笑ったので、私もつられてクスクス笑ってしまう。



「あっ!本当だからな!友達……、いや、親友になってた!」



堂々と宣言する創路くん。

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