あの日の夢をつかまえて

みぃくんと憲行くんが近づいてきて、
「何の話?」
と、創路くんに笑顔を向ける。



「お姉さんには負けないって話です!」



そう答えた創路くんに、みぃくんは目をほんの少し丸くして、
「香夜ちゃん?香夜ちゃんは将棋を指したことはないよ」
なんて言うから、
「ふぅーん、そうなんだ」
と、なぜか創路くんが私に勝ち誇った目を向けた。






絶対にまた来てねと、ゆびきりげんまんをして、創路くん達は家に帰って行った。



山方先生に将棋教室のことを色々教えてもらって。

私達も教室をあとにした。






みぃくんの部屋にふたりで帰ってきて、夕食の支度をした。

私が切った野菜を、みぃくんが炒める。

あっという間にチャーハンが出来て、いつものように並んで座って食べた。



空になった白い食器をキッチンで洗い終わると、
「今日はありがとう」
と、みぃくんが言った。



「オレ、教室で色々と思い出したよ」


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