その騎士は優しい嘘をつく
嘘をつく男
　次の日。ハイナーはアンネッテとハイネスを連れ、教会へ結婚申請書を提出した。
　堂々とアンネッテを妻と呼べる喜びをハイナーは噛み締めていた。

「ハイネスは、その、身体が少し大きいのか？」
　ハイナーの腕の中では、ハイネスがすぴすぴと鼻を鳴らしながら目を閉じている。ときどき、ふごっと鼻を鳴らす。

「そうかもしれないわね。他の赤ちゃんよりもずっしりとしてて、生まれてくるときも大変だったかも」

　アンネッテは小柄。特に騎士団に所属しているような自分と比較すると、余計に小柄に見える。その小柄な彼女の中に、このハイネスがいたかと思うと不思議な気分だ。

「生まれてきたときは、もっともっと小さかったのよ」
　とアンネッテは言うけれど、それでも彼女のお腹の中にこのハイネスがいたというのはなんとも言葉に表せない神聖な神秘的な想い。



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