婚約破棄された私は悪役令嬢に堕ちて慰謝料としてこの国を貰いました 〜冴えない地方令嬢の復讐劇〜
「静粛に、これより『ミシェル王子の婚約破棄』について、裁判を始める」
やっと始まりましたわ。結果が分かっているシナリオ裁判がね。最初はミシェルの言い分を聞くとしましょうか。いえ、言い分ではなく、ただの独り言でしょうけどね。
心の中で高笑いする私。
顔にはまだ出してはダメ。耐えて、耐えて、耐え抜いてこそ、最高の喜びになるの。だから、今はまだ鉄仮面が必要なのよ。
「議長、婚約破棄は妥当でしょう。だって、好きでもない人、しかも、ちょっとしたノリというか、ジョーク的婚約なんですし。それに、元々、僕の本命はシェリーだけ。つまり、それ以外の女性なんて、道端のゴミと変わらないのさ」
これが本音というわけね。ふふふ、ダメよ、鉄仮面、鉄仮面をつけて……られるかぁぁぁぁ。このクズ王子、このレイチェルをゴミ扱いにするとか。いいわ、いいわよ、ゴミはどちらか、ハッキリさせてあげるわ。
怒りのボルテージが高まり、鉄仮面にヒビが入ってしまう。でも、感情に身を任せてはダメ、そう心に言い聞かせ、私はクズ王子へ反撃した。
「あら、そのようなことを言ってもいいのかしら? そうね、ゴミにもならない、クズ王子よりはマシだと思いますわ。そ、れ、に、レイチェルは深く心を傷つけられたのぉ。だから議長、クズ王子に慰謝料を要求するわ」
「ふっ、そんなバカみたいな話が通るわけ……」
「ふむ、慰謝料の請求は妥当だの。反対する者は挙手を願う」
当然ですけれど、反対するものなどいないわ。ほら、クズ王子の顔、化けの皮が剥がれて醜くなっていくの。今までのように、この議会はクズ王子の道具でないのだから、仕方ありませんけどね。
「な、なんで誰も反対しないんだ、この僕を誰だと思ってるんだ! この国の王子だぞ、それに賛同しない議会など、存在する価値がないね」
「夢の時間は終わりです、クズ王子様っ。そろそろ、現実の話にまいりましょうか。議長、婚約破棄でこのレイチェルは、母親も心も何もかも失いましたの、ですから、それ相応のモノをいただきたいのです」
「要求を聞こうではないか」
「ありがと。で、は、レイチェルが要求するのは……この国ですわ。だってレイチェル、それだけ傷ついたんですもの」
「そんなバカな要求受け付けるわけが……」
青ざめてますわ。もう一押し、というところですわね。
「あら、では、採決してもらいましょうか? クズ王子が言う、『自分だけ』の議会でねっ。それとも、自信がないのかしら、そうよね、自信がなければ、採決しなくてもよくってよ?」
「くっ……いいだろう、後悔するなよ。議長、この要求に対して採決をしろ。もし、満場一致で通るようなら、国と言わず、僕の財産をすべてくれてやる。そのかわり、通らなかったら……」
「細かい男は嫌われるわよ? 議長、採決をよろしくって?」
「では……レイチェル様の要求に意義がある者は、挙手を願う」
時間が止まったのか、それとも、一枚の絵なのか。
静寂に合わせ、誰も動くことはなかった。
つまり結果は……。
「ば、バカな……。なんで、なんでだ! この議会は僕の意思で動くはずだろ、これは陰謀に違いない、でなければ……」
「往生際が悪いわね、クズ王子。あっ、もう王子ではありませんか、クズ男さん。では議長、この判決通り、レイチェルが国をもらう、ということで、よろしいですわね?」
「通達はすぐにいたしますゆえ。ミシェル元王子、即刻城から退去せよ」
崩れ落ちる元王子は警備兵により連れ出される。いや、ゴミのように追い出された、と言った方がいいかしら。死んだ魚の目となり、暴れる気力すらなさそう。
でも、私にはもうどうでもいいこと。だって私は……新しいおもちゃを手に入れ満足しているのだから……。
やっと始まりましたわ。結果が分かっているシナリオ裁判がね。最初はミシェルの言い分を聞くとしましょうか。いえ、言い分ではなく、ただの独り言でしょうけどね。
心の中で高笑いする私。
顔にはまだ出してはダメ。耐えて、耐えて、耐え抜いてこそ、最高の喜びになるの。だから、今はまだ鉄仮面が必要なのよ。
「議長、婚約破棄は妥当でしょう。だって、好きでもない人、しかも、ちょっとしたノリというか、ジョーク的婚約なんですし。それに、元々、僕の本命はシェリーだけ。つまり、それ以外の女性なんて、道端のゴミと変わらないのさ」
これが本音というわけね。ふふふ、ダメよ、鉄仮面、鉄仮面をつけて……られるかぁぁぁぁ。このクズ王子、このレイチェルをゴミ扱いにするとか。いいわ、いいわよ、ゴミはどちらか、ハッキリさせてあげるわ。
怒りのボルテージが高まり、鉄仮面にヒビが入ってしまう。でも、感情に身を任せてはダメ、そう心に言い聞かせ、私はクズ王子へ反撃した。
「あら、そのようなことを言ってもいいのかしら? そうね、ゴミにもならない、クズ王子よりはマシだと思いますわ。そ、れ、に、レイチェルは深く心を傷つけられたのぉ。だから議長、クズ王子に慰謝料を要求するわ」
「ふっ、そんなバカみたいな話が通るわけ……」
「ふむ、慰謝料の請求は妥当だの。反対する者は挙手を願う」
当然ですけれど、反対するものなどいないわ。ほら、クズ王子の顔、化けの皮が剥がれて醜くなっていくの。今までのように、この議会はクズ王子の道具でないのだから、仕方ありませんけどね。
「な、なんで誰も反対しないんだ、この僕を誰だと思ってるんだ! この国の王子だぞ、それに賛同しない議会など、存在する価値がないね」
「夢の時間は終わりです、クズ王子様っ。そろそろ、現実の話にまいりましょうか。議長、婚約破棄でこのレイチェルは、母親も心も何もかも失いましたの、ですから、それ相応のモノをいただきたいのです」
「要求を聞こうではないか」
「ありがと。で、は、レイチェルが要求するのは……この国ですわ。だってレイチェル、それだけ傷ついたんですもの」
「そんなバカな要求受け付けるわけが……」
青ざめてますわ。もう一押し、というところですわね。
「あら、では、採決してもらいましょうか? クズ王子が言う、『自分だけ』の議会でねっ。それとも、自信がないのかしら、そうよね、自信がなければ、採決しなくてもよくってよ?」
「くっ……いいだろう、後悔するなよ。議長、この要求に対して採決をしろ。もし、満場一致で通るようなら、国と言わず、僕の財産をすべてくれてやる。そのかわり、通らなかったら……」
「細かい男は嫌われるわよ? 議長、採決をよろしくって?」
「では……レイチェル様の要求に意義がある者は、挙手を願う」
時間が止まったのか、それとも、一枚の絵なのか。
静寂に合わせ、誰も動くことはなかった。
つまり結果は……。
「ば、バカな……。なんで、なんでだ! この議会は僕の意思で動くはずだろ、これは陰謀に違いない、でなければ……」
「往生際が悪いわね、クズ王子。あっ、もう王子ではありませんか、クズ男さん。では議長、この判決通り、レイチェルが国をもらう、ということで、よろしいですわね?」
「通達はすぐにいたしますゆえ。ミシェル元王子、即刻城から退去せよ」
崩れ落ちる元王子は警備兵により連れ出される。いや、ゴミのように追い出された、と言った方がいいかしら。死んだ魚の目となり、暴れる気力すらなさそう。
でも、私にはもうどうでもいいこと。だって私は……新しいおもちゃを手に入れ満足しているのだから……。