最初で最後の恋をおしえて

 唇は再び紬希の唇に重なると、甘く形をたしかめるように何度も角度を変え、触れては離れ、また重なった。

 頬を撫でられ、目を開ける。すぐ近くに羽澄のとろけた顔があって、胸がキューッと痛くなった。

「必死でかわいいけど、ちゃんと俺も見て」

 唇を重ねている間も薄くこちらを見つめている表情が、妖艶で見ていられない。

「大和さんの色気があり過ぎて」

 声も切れ切れに訴えると、唇を舐められた。緩んだ唇の隙間から、絡んで捕らえられる。ゾクゾクとした痺れが背中を走り、彼にしがみつく。

「ほら、もっと」

 濃厚なキスをせがまれ、絡め合う。重さなる水音が余計に体を熱くさせた。

 短くなる息遣いに、漏れる嬌声。自分の声なのに、甘いその声を聞けば聞くほど、体の奥が疼いて、もどかしくなる。

 急に体が浮いて「ひゃ」と声が漏れる。軽々と抱き上げた羽澄が「寝室に行こう」と歩き出した。
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