最初で最後の恋をおしえて
服は羽澄のシャツが置いてあった。大きくて一枚だけで十分ワンピースみたいだ。
昼食はデリバリーしようとなり、なにを注文しようかと相談する。
スマホでメニューを開き、お互いに「これおいしそう」と見せ合う。
不意に視線が絡み、どちらともなく顔を近づける。自然に唇が触れ、羽澄は頬に手を添えた。
「んっ。ダメです。ご飯」
「わかってる。でも少しだけ」
どれだけキスをしても足りなくて、紬希も羽澄の腕に手を添える。スマホは羽澄が受け取り、ふたつ一緒にテーブルの上に置かれた。
「恋って、人をダメにするな」
何度も唇を重ねてから、羽澄がぽつりとつぶやいた。それなのにまだ離れられなくて、紬希から羽澄の唇に自身の唇を触れさせる。
「せめて注文する飯くらいは食べよう」
自炊する時間が惜しいのは、声に出していなくとも同じ想いだった。触れ合って重なり合って、いっそ混ざり合って、ひとつになってしまえたら。
もたれかかる紬希の鼻を、羽澄がつまむ。
「んー。なんですか?」
悪戯をする羽澄は、柔らかく微笑んでいる。
「恋に溺れて、堕落して、廃人になりそうだ」
堕落したダメ人間になっている羽澄は想像できない。