最初で最後の恋をおしえて

「くっついているのは、いいですよね?」

「なに? 急に甘えて」

 羽澄の胸に顔を埋める。

「自分の気持ちを自覚したら、離れられなくなりました」

 ギュッと腕を彼の体に回すと、羽澄も応えて抱き締めた。

「デリバリーやめようか。遅い時間にレトルトカレーでも食べればいい?」

 確認され、首を縦に動かす。

「実は、俺のシャツを着てリビングに来た紬希をひと目見たときから、グッと来てた」

 表情に変化なんてなかったのに、思ってもみなかった思いを明かされて、気恥ずかしくなる。

「あんまり見ないでください」

「かわいいよ」

 甘く囁いて、唇が触れる。それだけで、早く彼とひとつになりたいと体が疼き出す。

「あの、こんなに、求めるのは、おかしくないですか? どこか病気なんじゃ」

 その行為の依存症もあると、著名人が不倫をしたときに大々的に報じられていた。

 テレビ画面に映るセンセーショナルな内容に、当時は大変だなあ、と人ごとだった。それなのに、今は自分もそうなのでは? と心配になる。

「病気だとしたら、恋の病でしょう?」

 羽澄は茶目っ気たっぷりに言いながら、紬希を抱きかかえて移動する。もちろん行き先は寝室で。

 まだ言い足りない紬希は、ベッドに下ろされても食い下がる。

「でも、だって」

「もういいから」

 焦れた声で唇を重ねられ、再びベッドに体を沈ませた。
< 124 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop