最初で最後の恋をおしえて

 それから数日後、羽澄の母親との対面に漕ぎ着けた。

 イングリッシュガーデンが清々しいカフェでの待ち合わせ。緑がまぶしい庭園のテーブルで食事ができる。

 案内されたテーブルには、既に女性が座っていた。

 彼女と、それに周りの景色にも既視感を覚え、目を丸くする。

 彼女は顔いっぱいに笑顔を浮かべ、声を弾ませた。

「まあ、紬希ちゃん。大きくなって。ますます美人さんね」

 彼女は詩乃。母の友人だと思っていた人物。実際、友人でもあるかもしれないが、まさか自分の婚約者の母親だとは思いもしなかった。

 何年か前に、ここと似た庭園で食事をした席にいた。

 そういえば、彼女の名字は知らない。

 言葉を失っている紬希に、詩乃はうれしそうに告げる。

「早く「あなたのお母さんになるのよ」って言いたくて言いたくて。義理だけど、もうすっごく娘がほしくて。夫を早くに亡くしたから無理でしょう?」

 あっけらかんと明るく話す詩乃は、紬希もよく知っている彼女だ。
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