最初で最後の恋をおしえて

「世襲制はもう古い。羽澄の名でわたしの椅子まで上がって来いと父は言っていました」

「勝手な人だ。如月の名に並々ならぬ思いがあるくせに」

 自分の髪をかき回してから、紬希の頬に触れる。

「まあ、たしかに紬希が羽澄になれば、インテリアコーディネーターとして、仕事がしやすくなるかもしれないが」

 全く別の話題を出され、面食らう。

「名字と私の仕事に、なにか関係が?」

 質問に思ってもみなかった答えがあった。

「仕事は出来るのにどうしてアシスタント止まりなのか聞いたとき、「如月の名では社外の人と関わると風当たりが強い」って」

「そんな、理由」

 如月ハウスが世襲制なのは、世の中にも知れ渡っている。その会社で如月という社員が出てこれば、親族なのだと思うのは普通の考えだ。

「勘違いしないでくれ。みんな過保護なだけで、紬希が仕事が出来るのも、努力しているのもわかってる」

 みんなの優しさを感じ、ジンと胸が熱くなる。けれど同時にジレンマも感じた。
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