最初で最後の恋をおしえて
「聞きたいというか、おしえてほしいんだ。俺に恋を」
紬希に向けられた声につられ、見上げた視線が羽澄と絡まった。真っ直ぐに見つめられ、羽澄の言葉が頭の中を何度も巡る。
そして、やっと言葉の意味を理解してカッと熱くなり、顔を背けた。
「わ、私じゃなくても、おモテになるようですし、いくらでもおしえてくれる方はいらっしゃるんじゃ」
今日だって、たくさんの女性に囲まれていた。今までも付き合う相手がいたのだから、紬希の出る幕ではない。
「言い寄ってくる女性では意味がないよ。如月さんなら、わかってくれるんじゃない?」
『わかってくれるんじゃない?』と言われ、どうしてか相川の顔が浮かんでしまった。
紬希としては、相川と恋をする気にはなれない。
だからといって、どうしたらいいのか。
思い悩んでいると、羽澄がつぶやくように言った。
「恋って、そんなにいいものなのかな」
小さなつぶやきだったのに、聞き逃せずに反射的に口を開いた。
「いいに決まってます!」
つい、言い切ってしまってから、テーブルの上に両手を組んでいた羽澄の面食らった表情に気づく。
「ご、ごめんなさい。取り乱してしまって」
恋はいいものだ。そう思うのは自分の勝手で、それを押し付けるつもりはない。