もう、キスだけじゃ足んない。



「ほんと、目の毒……」

「え……?」

「ん、なんでもないよ」


シャツのボタン外して、上に乗せたのも自分なのに、いつも以上に直で胡桃の素肌を感じるから。


……我慢できないのは、俺のほう。

なんでもしてって言ったくせに、結局先に限界きて、また押し倒すとかかっこつかなさすぎる、男として。


『ど、どうしよう……』


困ってる。困ってるの、めちゃくちゃかわいい。

けどふれたい。
今すぐまた押し倒してむちゃくちゃにキスしたい。


胡桃になんかしてほしい、なにしてくれんのって期待と。

ふれたい。そのために仕事がんばったんだろ。
もういいじゃん、いつもみたく甘やかしてやれよ。


悪魔の俺と、天使の俺が葛藤してる。


「また頭ぼーっとしてるだろうから、今度は胡桃のペースで、しよ?俺、またちょっとがっついちゃったし」


『っ、がっついてなんか、』

『……』


黙ったまま、ぎゅっと唇を噛んで、じっと俺を見つめてくる胡桃。


え、なにこの拷問みたいな時間。


いや、俺がそうしたんだけど、なに?

胡桃、いつの間に焦らすとかそんなくっそかわいい技覚えたの?


俺がやったことあるやつ。

心の中でも声でも、あえてなにも言わないで、胡桃に今俺がしてほしいこと、わかってほしくてわざとやったやつ。


「あー……もう、」

「え……?」

「かわいすぎんだろ……」


なにがって、俺がしたことをそのまんましてくれたこと。

胡桃は気づいてんのかわかんないけど、たぶん無意識。

無意識に俺と同じことしてるって、これ、相当かわいすぎ案件だろ。
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