もう、キスだけじゃ足んない。


今度はなにっ!?


「んんっ、あつい……」

「ちょっ、待ってって脱ぐな!」


はっ!?

その声にバッと胡桃を見れば、真っ赤な顔でウンウン唸りながら、Tシャツからキャミソールになっていてギョッとする。


「はぁ……おい、杏」

「見てない!見てないから!」


やっば、殺される……。

さっきまで真っ赤な顔してたやつとは思えないほど、氷点下なまなざし。

慌てて遥が自分の着ていたシャツを着せた瞬間、ぐりんと俺へ振り返った。


胡桃のことは遥に任せて、とにかく早く水を……そう思ったとき、はたと気づいた。

そういや……。


「んんっ、あっつい……」

「ああああ!待って待って!桃華!」


慌てて俺も着ていたシャツを脱いで、桃華に被せる。

はー……ビックリした……。

今ので完全に思い出した……。

確かせとかさんも、酔っ払ったら脱ぎはじめるとこあったよな……それで、慌てて遥と俺でふたりで止めて。

あとの3人は大爆笑してたけど。

さすが親子……酔っ払ったときも同じとか。


「杏……今日はお開きにして、片づけは明日にしよう」

「そうだね……とりあえずふたりの体が心配だし」

「ああ、じゃ、」


そう言った遥は、胡桃を抱き上げると部屋を出ていった。

「……」


さて、どうするか。

いやいや、どうするかじゃないだろ!


抑え込んだはずの熱が一瞬頭をよぎって、必死に違うことを考える。

そうだ、前に千歳くんがしてた、ぶっさいくな変顔を思い出して……よし、大丈夫。
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