最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
陽芽との出会いのプロセスを思い出し、苦笑する。
詐欺に遭い全財産盗まれたことは同情するが、そのおかげでイザベルに会えたのだと思えば、そう悪くはない。
「ねぇ志遠さん。昨夜の質問、覚えていますか? 『ほしいものはなに』って」
「ああ」
「考えてみたんですけど、やはり今の私は幸運すぎて――」
彼女は困ったように笑って、くしゃりと目もとを歪める。
「ほしいものなんて見つかりませんでした」
彼女の返答にごくりと息をのむ。かつての母の言葉が脳裏をよぎり、背筋に冷たいような熱いような衝撃が走り抜ける。
――【なにもほしくない】と答えた女性が、きっとあなたを幸せにしてくれる――
「……言葉遊びだ」
思わず言い訳のようにつぶやいてしまう。
「なにか言いましたか?」
「……いや」
ごまかすようにワインを飲み干し、認めたくない感傷から目を逸らした。
その日の夜。陽芽の恋人について調査結果が届いた。
想像通りの報告に、俺は陰鬱なため息をつく。これを陽芽にどう伝えたらよいだろう。
リビングのソファに座っていると、シャワーを浴び終えた陽芽が部屋着にガウンを羽織ってやってきた。
詐欺に遭い全財産盗まれたことは同情するが、そのおかげでイザベルに会えたのだと思えば、そう悪くはない。
「ねぇ志遠さん。昨夜の質問、覚えていますか? 『ほしいものはなに』って」
「ああ」
「考えてみたんですけど、やはり今の私は幸運すぎて――」
彼女は困ったように笑って、くしゃりと目もとを歪める。
「ほしいものなんて見つかりませんでした」
彼女の返答にごくりと息をのむ。かつての母の言葉が脳裏をよぎり、背筋に冷たいような熱いような衝撃が走り抜ける。
――【なにもほしくない】と答えた女性が、きっとあなたを幸せにしてくれる――
「……言葉遊びだ」
思わず言い訳のようにつぶやいてしまう。
「なにか言いましたか?」
「……いや」
ごまかすようにワインを飲み干し、認めたくない感傷から目を逸らした。
その日の夜。陽芽の恋人について調査結果が届いた。
想像通りの報告に、俺は陰鬱なため息をつく。これを陽芽にどう伝えたらよいだろう。
リビングのソファに座っていると、シャワーを浴び終えた陽芽が部屋着にガウンを羽織ってやってきた。