最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
「エレノア様は、伯爵家の長女なんです。エレノア様とシオンが結婚すれば、伯爵家と強い繋がりを持つことができる。今後英国で経済活動するにあたって大きな推進力となるでしょう」

――つまり、伯爵家とのコネクションを作るための政略結婚ということだろうか。

きっとダリルは志遠さんのためを思い、結婚を勧めているのだろう。

しかし当の志遠さんは、アーサーが持ってきた縁談はすべて断ったと言っていた。

もしかしたらエレノアさんとの婚約もすでに断った、あるいは断るつもりなんじゃないだろうか。

「志遠さん自身は、結婚についてどう考えているんでしょうか?」

私の言葉に、ダリルはぎりっと歯を食いしばり私を睨んだ。

触れられたくなかったのかもしれない、怖ろしい剣幕で「早く休んでください」と客間のベッドに押し込まれた。

しばらくはおとなしく寝たふりをしていたが、それはそれで退屈で、ダリルが帰宅したあと、私は部屋を出た。

リビングでくつろぎながら志遠さんの帰りを待つことにする。

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