最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
「……確かめられましたか?」

「……非常に不本意だが、離したくないと感じている」

弱りきった言葉とは反対に、情熱的な眼差しで訴えられ、思わずうつむく。

私だってこんなの想定外だ。そりゃあ志遠さんは素敵な男性だけれど、異性として見るつもりなんてなかったのに。

しかも、ちょいちょい失敗感を出してくるのはなんなの……。

「不本意とかわざわざ言う必要あります?」

「惚れるならもっと、淑やかな女性がよかった」

「素直にそういう女性を探した方が――」

「無理だ。本能が君だと告げた。君でなければダメだと」

さんざんけなされたあとの熱烈なラブコールに頭がおかしくなってしまいそうだ。いったいどういう精神状態で愛をささやいているの? この人は。

「陽芽は? 俺に触れられてどう思った。嫌がりもしないし、喜びもしていないようだが」

「私は……その、実感がなくて。いったいなんの冗談かと」

「俺の言葉を疑うのか? あれだけ騙されやすい君が、なぜ俺のことだけ疑うんだ」

絡めた手をソファの背もたれに押し付けられる。それだけで息が詰まりそうなのに、顔の距離を縮められ、どこに目線を向ければいいのかわからない。

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