最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
翌日。アルフォード伯爵家のパーティーに出席するために、志遠さんは私をサロンに連れていった。

エステをしたあと、夕方のパーティーに向けてヘアメイクを整えてくれるという。

志遠さんが用意してくれた服を見て、私はつい大きな声を上げてしまった。

「志遠さん、これって……!」

「ああ。イザベルから受け取った着物だ」

紅と黒のグラデーションがきらびやかな振袖。まだ袖を切っていなかったようで、今の私にちょうどぴったりだ。

草履やバッグは志遠さんが揃えてくれたのだろう、着物の色合いに合う上品な金色だ。

「着物姿の陽芽をアーサーに見せてやりたい」

「そのまま着られるでしょうか?」

「親子なんだ、そこまで体形は変わらないはずだろう」

遺影の母を見て、私とそう変わらないだろうと踏んだのかもしれない。それに、着物はドレスと違ってサイズに融通が利く。

「着付けや髪結いができるスタッフを呼んでおいた。君はまずエステを楽しんできてくれ」

そう言って連れていかれたのはヘッドスパとフットマッサージ、ネイルケアのトリプルコンボ。

三人のスタッフに頭、手、足を同時にほぐされ、優雅なひとときを味わった。

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