最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
エステのあとはヘアメイク。着物に合う艶やかな紅のリップをひく。アイメイクはブラウンとピンクのグラデーションにボルドーのマスカラ。

洗練されていてヨーロッパらしさも感じる、スタイリッシュな仕上がりだ。

髪を編み込んで結い上げ簪を刺し、最後に着付けをお願いする。

母の時代の着物に現代メイクを合わせたせいか、和洋折衷の幻想的な和装に仕上がった。

「美しいよ、陽芽」

志遠さんが表情を甘くして褒めてくれる。

そんな彼は甘いブラウンと引き締まったボルドーの組み合わせがエレガントな、グレンチェックのスーツを着ていてとびきり紳士的だ。

英国らしいコンケープド・ショルダーのジャケットは、肩先が高くなっておりクラシックなシルエットを作り出してくれる。

前髪を分けサイドに流し、髪型もいつも以上に男の色気に満ちていた。

「志遠さんこそ……素敵です」

他に形容も思いつかず、『素敵』のひと事に全部を押し込めると、彼は「ありがとう」と余裕の笑みをたたえた。

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