最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
『今日は彼女と一緒に聞かせてもらうよ。彼女は陽芽、俺のパートナーだ』

そう答えて陽芽の肩を抱き寄せる。陽芽はただならぬ空気を察知したのか、微妙に頬を引きつらせて微笑んだ。

エレノアがツンと顎を逸らし、陽芽を威嚇する。

『エレノア、いい加減にしなさい。シオンには恋人がいると説明しただろう』

俺と陽芽の関係を知ったアーサーは、娘にあきらめろと諭してくれていたようだ。だがエレノアは聞く耳を持たず、俺の腕に抱きつく。

『今日は私の誕生日パーティーなんだから、少しお話をするくらい許してよ。それくらい気を利かせてくれてもいいんじゃない? 日本から来たお人形さん』

強気な口調で陽芽にたたみかけるが、当の陽芽は無反応。こんなに早口の英語を聞き取れるわけがないのだから、反応できなくて当然だ。

エレノアは若干イラっとしたようで、こめかみを引きつらせる。

通訳しないよう、俺はダリルの腕を掴んだ。

『……英語が聞き取れないなんて論外ね。シオンにふさわしくないわ』

『エレノア』

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