最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
「それは仕方ありませんよ。簡単に穴を埋められような役職でもありませんし」

『代わりといってはなんだが、君が安心して暮らせるような、セキュリティが万全なマンションをひとつ購入した』

「こ、購入……!? 購入ですか!?」

彼が買うのだからきっと億ションなのだろう。ちょっと洋服買ってみたくらいのテンションで報告されてたじろぐ。

『終の棲家というわけではないから、あまり気負わないでくれ。ふたりで過ごせる場所が必要だろう。君の会社からも近いし、通勤に不便はないと思う』

「あ、ありがとうございます……」

当分は彼の生活水準に驚かされる日々が続きそうだ。

本当に、どうして私のような一般庶民がこんな世界的セレブと婚約することになってしまったのだろう。

縁結びの神様が赤い糸の結び先を間違えたとしか思えない。

『どんなに大きな仏壇でも置けるぞ』

「そんなに立派な仏壇じゃなくていいです……。あ、でも、母の着物をきちんと保管できるようなスペースはほしいかも」

『もちろん。用意しておく』

イザベルさんにもらった母の着物だが、この部屋に置くのは難しかったため、今はイギリスで預かってもらっている。

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