最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
「なんだか落ち着きますね。インテリアもちょっぴり似てるからでしょうか」

まだ付き合っていなかった頃の同居生活を思い出して、初々しくもみずみずしい気持ちになる。

「そう言ってもらえてよかった。オーダーしたかいがあったな」

他にも一階には和室と客間、二階には志遠さんの書斎と私の私室、ふたりの寝室もある。

家具や小物はデザイナーさんが用意してくれたようで、いずれもオシャレで高品質。最上級のモデルルームにぽんと飛び込んだ感じだ。

「! 立派な和室」

ダイニングの奥は襖で区切られていて、畳敷きの間になっている。

仏壇が置かれ、桐ダンスも備え付けられていた。母の着物が収納されているのだろう。

「これなら、ここで子どもを遊ばせて、陽芽はキッチンで炊事ができる」

「そこまで考えてくれたんですね。ありがとうございます」

新生活に胸が高鳴る。キッチンも広々としていて、調理がしやすそうだ。

「ぴかぴか……使うのがもったいなくなっちゃいますね」

「陽芽は自炊するのか?」

「しますよ。その方が体にもいいですし。志遠さんもロンドンで朝ごはんを作ってくれましたよね」

「あれは冷凍食品を解凍した程度だ。自炊とは言わないだろ」

志遠さんが困った顔で後頭部をかく。

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