最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
「……善処する。陽芽においしいものを食べさせてあげられるように」

「料理は私が作りますから――」

「陽芽はこれから出産と育児があるだろう。俺がサポートできないと。……だが当面はデリバリーで許してくれ」

思わずクスクスと笑いながら、私たちは二階に上がりクローゼットルームを覗く。

服が家から運んできた枚数よりあきらかに増えていて、私は「え!?」と声をあげた。

「陽芽の好みがわからなかったから、適当に見繕った」

「クローゼットが洋服屋さんみたいになっちゃってるじゃありませんか……」

ファッションショーができそうな量だ。色も、普段私がよく着るアースカラーの他に、上品なラベンダー色やライトブルー、ミントグリーンなどカラフルだ。

「……志遠さんは、どれを私に着せたかったんですか?」

「俺なら――」

志遠さんが指差したのは、淡くて上品なピンク色のワンピース。こてこての女子服だ。

「……ごめんなさい。私、志遠さんの好みの女性にはなれないかも」

「上着の色を選べば、そこまで派手にはならないんじゃないか?」

志遠さんが提案してくれたのは、ワンピの上にカーキのコートやブラウンのカーディガンを羽織るコーディネート。

なるほど、この組み合わせならピンク色が自然になじむ。

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