最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
どちらかというと、みんなは私が未婚で妊娠したことに興味津々。

加えて、子どもの父親とは海外旅行中に出会った、今も国外で仕事をしていると説明したら、行きずりの関係を想像されてしまい、面倒見のいい主任には叱られ、同僚からは同情されてしまった。

相手が大企業の経営者であることは省いて説明したけれど、私が『御子神』を名乗るようになったら、名字の珍しさからバレるかもしれない……。

「これまでひとりにしてすまなかった。今後はなるべく陽芽のそばにいられるようにする。せめて……月の半分くらいは」

「本当ですか!? でも、行ったり来たり大変なんじゃ……」

「もともと移動の多い仕事だから、苦ではないよ。飛び回って周囲に顔を出すのが俺の仕事だ」

「無理はしないでくださいね」

それは君の方だろう?といった顔で志遠さんはくすりと笑う。

食事を終えた私たちは、二階のリビングでソファに座り、のんびりとした時間を過ごした。ロンドンにいた頃のようだ。

「雑誌がいっぱいありますね。読むのが楽しみ」

「陽芽の好みがわからなかったから、幅広く取り揃えてもらった。好きなジャンルは買い足してくれ」

ふと思い出したかのように、志遠さんがこちらに顔を向ける。

「俺は陽芽の趣味や好みをよく知らない。プレゼントを贈るにも、どんなものを好むのかわからなくて困るんだ」

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