最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
今はちょうどいい運動になっているけれど、赤ちゃんひとりお腹に入れながら、これをこなせるかどうか……。

「わかりました。じゃあ、お腹が大きくなってきたらお願いします」

『ああ。なにかあったらすぐに連絡してくれ。遠慮するなよ』

そんな会話を交わして通話を切った。

聞き分けのいいふりをしたけれど、志遠さんが日本に帰ってこれないと聞いて、正直ショックだった。本音を言うと、そばにいてほしい。

そのとき。下腹部がじんわりと痛んだ気がした。まるで内側から引っ張られるような、引きつるような痛みだ。

赤ちゃんもお父さんに会いたがっているのかな?

もしかしたら、私の悲しい気持ちが赤ちゃんに伝わってしまったのかもしれない。いけないいけないと頭を切り替え、楽しいことを考える。

「使用人……どんな人がくるんだろう」

優しい人だといいな。志遠さんが信頼できるというくらいだから、きっと大丈夫だろう。

私は深く考えないようにして掃除を続けた。



< 200 / 272 >

この作品をシェア

pagetop