最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
第八章 ふたりの愛の結晶に太陽の祝福を
一カ月後。お腹がぽっこりと膨らんできて、妊娠六カ月目に突入。

そして今日、志遠さんが手配してくれた使用人さんがうちにやってきた。

深水頼子(ふかみずよりこ)さん六十五歳。身長は小さめで顔が丸くて、ころころとした印象のかわいらしい人だ。

私の親よりも上の年齢――使用人というより、むしろ私がいたわった方がいいのかなと悩む。

「はじめまして、よろしくお願いします」

頼子さんは私のお腹を見つめ、目もとにくしゅっとしわを作って朗らかに笑う。

「こちらこそ、よろしくお願いします。まだまだお腹、小さいですね。これからどんどん膨らみますからがんばってくださいね」

これでも小さいの? 結構大きくなったと思ってたのに。

やっぱり出産経験のある人は肝が据わっているなぁと感心してしまう。

「志遠坊ちゃんからは、臨月を過ぎたら住み込みでお世話をするように言われています」

坊ちゃん――そう呼ぶくらいだから、志遠さんが子どもの頃からお世話をしていたのかもしれない。御子神家に古くから仕えていると聞いている。

「はい、お願いします。あ、お部屋は一階の客間を使ってください」

頼子さんは持参した大きなバッグを客間に運ぶ。歩く速度も速いし、力もありそうだし、若々しくて安心した。

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