最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
しかし、先生からは予想外の見解を告げられることになる。

「少し、子宮頸管が短くなっていますね」

超音波検査と触診を終え、私は診察室で先生と向き合う。

「それは……どういうことでしょう?」

「あまり短くなりすぎると、切迫流産――もしくは切迫早産と呼ばれます」

切迫、しかも流産という言葉を聞いて、ぞっと血の気が引く。

私の顔色を見て安心させようとしたのか、医師は穏やかに微笑んで言い添えた。

「今の段階でそこまで心配することはありません。なったからと言って、必ずしもみんな流産や早産するわけじゃありませんし、無事予定日を迎えた妊婦さんもたくさんいますから。痛みや出血はありませんか?」

「出血はありません。少しだけ突っ張るような痛みが……」

「気をつけて様子を見ていきましょう。なるべく安静にして、激しい運動をしたり重いものを持ったりしないように気をつけてください」

安静にするということは、会社に行くのもまずいのだろうか。自分としてはそこまで無茶をしているつもりはないのだけれど……。

「仕事を続けても大丈夫でしょうか?」

「内容にもよりますが、デスクワーク程度なら、がんばりすぎなければ大丈夫かと思いますよ。ただ、続けていて痛みが出るとか、出血がひどくなる場合は、考えた方がいいかもしれませんね」

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