最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
頼子さんの顔色がすーっと青くなっていく。ああ、ものすごく心配してる……! 私の言い方が悪かった……。

「大変だわ……! 奥様、どうぞ座っていてくださいませ。ベッドの方がよろしいですか? お食事、お部屋までお持ちしますから」

「いえいえ! あの、ひどい状態とかではないんですよ? 念のために様子を見るってだけですから! 仕事も続けていいって先生が言ってましたし」

「続けるんですか? 本当に大丈夫なのですか?」

「ええ、無理をしなければ大丈夫と言われています」

私は頼子さんをなだめて、夕飯の準備を手伝おうとする。

しかし、今くらいは休んでくださいとソファに促されてしまったので、おとなしくテレビを見て待つことにした。

ニュースでは欧州の経済状況が取り上げられている。今もイギリスはバタバタしているみたいだ。

余波をもろに受けて倒産した企業の社長や、大損失を出した投資家のインタビューなどを聞いて、まだまだ深刻な状況であると知る。

「夕飯、もうすぐできますからね」

「ありがとうございます。頼子さんがいてくれて助かりました」

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