最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
それからというもの、頼子さんの手も借りながら、医師に指示された通りのんびりした日々を過ごした。

頼子さんは掃除洗濯も手早く完璧で、さすがはプロ。お料理もおいしくヘルシーで、栄養をしっかりと考えてくれているのがわかる。

私は睡眠や休息を多くとるよう心掛け、会社だけはきちんと出社した。

なるべく安静にして過ごしたけれど、ときたま訪れるお腹の突っ張るような痛みは改善されないまま……。

次の妊婦健診の日、超音波検査を終えた医師は、いまいち浮かない表情で私へ説明をした。

「現在妊娠二十二週で頚管長が二十九ミリ――切迫早産だね。できるだけ安静にしてください。これ以上短くなるようなら、入院加療も考えましょう」

前回の検査では三センチ以上あったはずなのに、また数ミリ縮んでしまった。

なにか特別なことをしたわけではないのに、どうして? 納得できないまま不安が頭をめぐる。

「お腹の張りは頻繁にありますか?」

「たまに突っ張るような感じは……でも、そんなに痛いわけでもないんですよ?」

「痛みというより、頻度の問題ですね。仮に十分おきに訪れるようなら、それはもう陣痛と言ってもいい。陣痛は一度訪れると止めることができませんから、そうならないよう、今から張りを抑えておく必要があります」

< 206 / 272 >

この作品をシェア

pagetop