最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
「それに、志遠さんは社長なんですから」

「俺が社長であることで、君が我慢するのは間違ってる」

「我慢なんてしていません」

いつの間にか泣き出しそうな顔になっている彼を、今度は私からぎゅっと抱きしめる。

「志遠さんは、私にとっても誇りです」

彼は強く頼もしく立派な人ではあるけれど、心配性でときに不安になったり嫉妬をしたり、弱い一面もたくさん持っている。

私が支えてあげなければと、初めて思った。

いつも支えられてばかりだけれど、こういうときこそ寄り添ってあげなければ。

私は彼の妻になるのだから。

その気づきが、うれしくもある。

「……家族も守れやしないのに、なにが騎士だ。聞いてあきれる」

「志遠さんは真面目すぎるんですよ。騎士だって奥さんには甘えると思いますよ」

顔を少し離し、彼の頬をぷにっと引っ張る。思わずクスリと笑うと、彼は困ったように眉を下げた。

「そんな真面目な志遠さんが好きです」

「君が大雑把すぎるんだ。だから俺の心配が加速する」

隣り合うパズルのピースのように、私と志遠さんはでこぼこでバラバラで、それでいてぴったりとはまるのだろう。

ゆっくりと顔を近づけて彼に口づける。愛情を注ぎこむように優しく舌を差し入れ、今日はちょっぴりがんばって私から大人のキスをする。

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