最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
出産の連絡を聞きつけ、志遠さんは飛んで帰ってきてくれた。

「陽芽、よくがんばってくれたな」

すやすやと寝息を立てる我が子を愛おしげに抱きながら、志遠さんがねぎらってくれる。

出産して一日。私はまだ前日の疲労を引きずっていて、ベッドに横になっている。

先生も驚くくらいの早産で、陣痛からあっという間に出産してしまった。しかし、出血量が多く、今も貧血でだるい。

「産みの苦しみはどうだった?」

「もう、すっっごく痛かったです。『痛いー!』って叫んじゃったくらい」

「痛みを経験することで母性が生まれるともいうよな」

志遠さんは息子を抱きながら、私のベッドに腰かける。

「じゃあ、志遠さんの父性はいつ生まれるんですか?」

「初めて我が子を抱いた今かな。毎日少しずつ、時間を重ねるごとに増えていくのかもしれない」

そう口にする志遠さんの表情は穏やかだ。愛情をたっぷり注いでくれるお父さんになってくれそう、そんな予感がする。

「名前を付けてあげてください。そしたら、きっと我が子の実感が湧くでしょう?」

志遠さんは息子に目を落としながらゆっくりと首をかしげる。悩んでいるような、楽しんでいるような顔で息子を眺めた。

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