最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
私は布団に入りながら、頼子さんに尋ねてみる。

「……志遠さんも、よく泣いていましたか?」

「ええ、ええ。それはそれはわがままな赤ちゃんでしたよ」

なるほど、よく泣くのは遺伝なのかもしれない。

「それがあんなにご立派になられたのですから……」

……ということは、この子もいつか志遠さんのように立派な大人になるだろうか。そう考えると、この激しい自己主張も大切な成長の一過程と思えそうだ。

「ほら、晴坊ちゃんも寝付きましたよ」

「頼子さん、すごい。私、毎日大苦戦でした」

「たくさん子育てしてきましたからね。でも、今だけですよ。すぐに『ママじゃなきゃヤダ』っていう時期が来ますから。さ、ふたりでゆっくり休んでください」

頼子さんが晴をベビーベッドに寝かせる。私も布団に横たわると、疲れていたせいかすぐに眠りに落ちてしまった。



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