最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
四苦八苦しながら育児をこなしているうちに、いつの間にか夏が終わっていた。出産から三カ月、秋がやってきた。

これからはお散歩も快適になるだろうから、晴に外の景色をたくさん見せてあげよう。

毎月志遠さんは、短いながらも休みをとって日本に戻って来てくれる。

「見るたびに晴は大きくなっていくな」

体重はもう生まれたときの二倍あって、手足や頬っぺたがむちっとしている。ころんころんしていてかわいらしい。

志遠さんは晴を抱っこをして二階のルーフバルコニーに出た。晴は外の空気が好きなようで、ホッとした顔をしている。

「あと三カ月もあれば、イギリスの方は片付くだろう。そうすれば、生活の中心をこちらに移せる」

志遠さんが私の顔を見て、にこりと微笑む。

「これからはふたりを近くで支えられる……今までよくがんばってくれたな、陽芽」

「もう充分に支えられてますよ。でも、一緒に暮らせるのはうれしいです……」

どうしても笑みがこぼれてしまう。

もうすぐ晴はハイハイができるようになり、やがて立って歩くようにもなるだろう。

『パパ』『ママ』としゃべり出し、いろいろな言葉を理解して泣いたり笑ったり――どんどん大きくなっていく。

その成長をふたりで見守りたい。夫婦で共有したい――。

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