最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
三カ月が経ち、志遠さんの帰国の日が近づいてきた。

イギリスではジェシカショックがまだ尾を引いていて、景気が完全に安定したとは言えない。

しかし、志遠さんは『企業としての方向性を示すことはできた』と言っていた。

自分が現地にとどまらなくても問題ないと判断したようだ。事態は沈静化に向かっている。

そのころ、御子神家はクリスマス、そして晴はもうすぐハーフバースデー。

年末の三十日には志遠さんも帰ってきてくれる予定だ。たくさんお祝いしなければ。

「晴、プレゼントはなにがいいかなー?」

間違いなくおもちゃと言っているに違いない、晴が音の出るトイを振り回しながら「あうー」と応える。

「サンタさん、来るといいねぇ」

まだ晴にサンタさんはわからないだろうけれど、枕元にプレゼントを置いてあげようと思っている。こういうのは私も一緒に楽しむことが大事だ。

午後三時。頼子さんに夕飯の買い出しをお願いして、私と晴は絵本を読みながらのんびり過ごしていると。

ドアフォンが鳴り、私はダイニングのモニターをのぞき込んだ。

玄関にいたのは、真っ赤な服に先の折れたとんがり帽子を被った男性。大きな白い袋を担いでいる。

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