最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
「お手伝いさんもお出かけ中で大変でしょう? まぁ、そのタイミングを狙ってきたんですけどね」

ダリルの言葉に私は目を丸くする。狙ったって、いったいどういう意味だろう?

ダリルは白い袋の中に入っているものを、ひとつひとつダイニングテーブルに並べ始めた。

「ダリルサンタからハルくんにプレゼントです。これが百日祝い――あ、日本では百日目にお祝いするんですよね? それから、これはハーフバースデー。クリスマスプレゼント、それから――」

続々とプレゼントボックスを取り出し、最後に私の胸もとへ、紙袋を差し出した。

「これはヒメに出産祝い。おめでとうございます」

「……ありがとうございます」

晴を抱きながら片手で紙袋を受け取ると、中がちらりと覗き見えた。そこに札束がぎっしり詰まっているのを見て、私は「えっ」と声を上げる。

「これは……いったい……」

「ヒメ、ごめんなさい。俺は出産を素直に祝福しにきたわけじゃないんです」

ダリルは帽子をとるとチェアに腰かけ、苦々しい笑みを浮かべて切り出した。

「シオンのお父様が、かんかんなんですよ」

「かんかん……?」

「シオンが婚約者を捨てて、見ず知らずの日本人と一緒になり、子どもを産んだことについてです」
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