最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
「志遠さんと話す時間をください。その結果、離婚することになっても私は後悔しません」

「シオンはあなた方を見捨てることはできませんよ。たとえそれが自身の利益に反するとしても。だから俺はこうして、ヒメに提案しているんですよ?」

声に苛立ちを混じらせ、ダリルは少し大げさに手を広げる。さぁ、とでも言うように私に手を差し伸べた。

「俺とあなたでシオンを救ってあげましょう。俺たちは意見こそ合わないけれど、シオンを心から大切にしているという点では同じはずだ」

晴を抱きしめる腕が震える。ダリルはダリルで、志遠さんのことを心から想ってくれているのだとわかるから、彼の主張が間違ってるとも言い切れない。

「ヒメ。あなたはシオンを愛していないんですか?」

「愛してます、だから――」

「だったら、愛する人にとって一番いい選択をするのが、よき妻のすべきことじゃありません?」

腕の中の晴が「あうー」と小さな喃語を発する。

ダリルが晴に目を落とし、意味深に微笑む。

「今のハルくんにとって、父親は誰だってかまわないはずだ。わがままを言っているのはあなただけです、ヒメ。シオンを引きとめようとしているのは、あなたのエゴだ。違いますか」
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