最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
それから私たちは、ピカデリー・サーカスの賑やかな街並みを観察したあと、エロスの像――正しくはアンテロス像というらしい――の前で記念撮影。

「ところで、ダリルってすごく日本語がお上手ですよね。勉強されたんですか?」

日本人の秘書だから日本語が流暢でないと務まらないのだろうか?

私が尋ねると、彼は「趣味のようなものです」と笑って答えた。

「シオンの母国語だからマスターしたくて、勉強したんです。ネイティブに近づけるよう、何度か日本に留学して」

おお……と私は感嘆の声を漏らす。ここまでくると、もはや熱狂的なファンといった感じだ。

志遠さんが『信頼できる人』と形容していたのを思い出し、なるほどと思った。彼は絶対に裏切らなそうだ。

おやつの時間には英国定番グルメ、ビックサイズのフィッシュアンドチップスをいただきお腹をぱんぱんに膨らませた。

最後は花柄やアールヌーボー柄などのプリントで有名なファブリック百貨店でお買い物だ。

美しい色柄のテキスタイルに魅せられ、私はポーチやエプロンなど素直にほしいと思ったアイテムを購入した。

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