最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
「志遠さんになにかお土産を買っていきたいのですが――」

私が相談すると、ダリルに「シオンのお金なのに?」と返されてしまった。ごもっともだ。

「まぁでも、プレゼントで大事なのは、お金の出所よりも相手への気遣いでしょうから」

気落ちした私を見かねて、ダリルはお土産選びに付き合ってくれる。

「志遠さんの好みがさっぱりわかりません……」

「衣類は固定のメーカーのものを使っているので、家に飾れるものや消耗品なんかがいいんじゃないでしょうか」

そんなアドバイスを受けて、私はキッチン用品売り場に向かう。

「これなんかどうでしょう?」

私が選んだのは、オレンジとグリーンが色鮮やかな花柄のマグカップ。

女性的なデザインではあるが、優雅さと繊細さが志遠さんとよくマッチしているような気がした。

「いいんじゃありませんか? いらないと言われたら、ヒメがもらってしまえばいいですし」

身も蓋もないアドバイスに苦笑いを浮かべながら、私はマグをギフトボックスに詰めてもらう。

今日使ったお土産代は、日本に帰ったらきちんと志遠さんにお支払いしよう。

そして最後は、本日恒例となった店の前での記念撮影。

< 73 / 272 >

この作品をシェア

pagetop