最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
「Smile☆」

最後だからとダリルが私の肩を抱き自撮りする。私は苦笑いを浮かべつつもピースで応えた。

私たちが志遠さんの自宅へ到着したのは夕方。

夕食も外で食べるかと提案されたけれど、午後に食べたフィッシュアンドチップスでまだお腹がいっぱいだったので辞退した。

「今日は本当にありがとうございました」

ぺこりとお辞儀をすると、ダリルはいえいえと謙遜しながらも、妙にかしこまって姿勢を正す。

「ヒメ。ひとつだけ約束してほしいんです」

「? なんでしょう」

神妙な顔で切り出してきたダリルに、私はきょとんと目を瞬く。

「シオンのことは、絶対に誘惑しないでください」

「ゆ、誘惑……!?」

あまりに驚き、声を裏返らせる。

「ええ。シオンには婚約者がいますから」

「婚約者……?」

昨夜聞いた話と違う。恋人はいないと、志遠さん本人が言っていたのだけれど……。

「――ですから、絶対にシオンのことは誘惑しないでください」

ダリルの真剣な眼差しに、決して茶化しているわけではなく、本気で志遠さんのことを心配しているのだと感じ取る。

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