最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
おずおずと覗き込むと、志遠さんはふうと短く息をついて、いつもの表情を私に向けた。

「君の恋人について調べた。三積証券の山内大也だったな」

「あ、はい!」

思わず志遠さんに詰め寄る。しかし彼は表情を険しくして、はっきりと言い切った。

「該当する人物はいなかった。全国の支社を、退職者も含め洗ってもらったが、君と同年代で山内大也という人間は存在しない。近い名前の人間にコンタクトを取ってみたが、君のことは知らないそうだ」

「え……?」

志遠さんの言葉の意味がわからず、私は声を詰まらせる。

「ええと……それは、連絡を取るのは難しい、ということでしょうか」

「そもそも、そんな人物が存在しているのかと聞いている」

混乱して何を答えたらいいのかわからない。

幽霊とお付き合いしていたわけではあるまいし、存在しているに決まっている。だが、どうやって証明したらいいのだろう。

「……なにか見落としがあったのでは。だって、全国って言ったらすごい人数でしょう?」

「それは……そうだが」

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