最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
そこに座っていたのはスーツ姿の男性二人組。
私の隣にいた二十代後半くらいの男性がスーツの胸ポケットや腰ポケットをパンパン叩きながら財布を探している。
『え、マジで!? 俺、先輩の金あてにしてきたのに』
『悪い。今だけ貸してくれない? カードくらいあるだろ?』
『カードは持たない主義なんですよ。使い過ぎちゃうから彼女に没収されて』
『じゃあ、会社の誰かに連絡して……』
『早帰り日だし、みんな帰っちゃったんじゃないですか? わざわざたかられること前提でここまで来てくれるようなお人よし、いませんよ』
ふと、困り果てた男性と目が合う。『助けて~』という心の声が聞こえた気がして、思わず私は口を開いた。
『あの……お金、貸しましょうか?』
『ちょ、菊宮さん!』
同僚に腕を掴まれ、ひそひそ声で注意される。『そんな怪しい男たちにお金を貸しちゃダメですよ』、『返してもらえないかもしれませんよ』、『新手のナンパじゃありません?』と必死に止められた。
でも、ふたりともスーツを着ていて身なりもきちんとしているし、お金に困っているようにも見えなかった。
居酒屋ならともかく、定食屋でナンパというのも聞いたことがない。
私の隣にいた二十代後半くらいの男性がスーツの胸ポケットや腰ポケットをパンパン叩きながら財布を探している。
『え、マジで!? 俺、先輩の金あてにしてきたのに』
『悪い。今だけ貸してくれない? カードくらいあるだろ?』
『カードは持たない主義なんですよ。使い過ぎちゃうから彼女に没収されて』
『じゃあ、会社の誰かに連絡して……』
『早帰り日だし、みんな帰っちゃったんじゃないですか? わざわざたかられること前提でここまで来てくれるようなお人よし、いませんよ』
ふと、困り果てた男性と目が合う。『助けて~』という心の声が聞こえた気がして、思わず私は口を開いた。
『あの……お金、貸しましょうか?』
『ちょ、菊宮さん!』
同僚に腕を掴まれ、ひそひそ声で注意される。『そんな怪しい男たちにお金を貸しちゃダメですよ』、『返してもらえないかもしれませんよ』、『新手のナンパじゃありません?』と必死に止められた。
でも、ふたりともスーツを着ていて身なりもきちんとしているし、お金に困っているようにも見えなかった。
居酒屋ならともかく、定食屋でナンパというのも聞いたことがない。