最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
結婚の話が具体的になり、後日、山内さんが電話で結婚式場を探していると教えてくれた。
『せっかくだから豪勢な式をあげたいんだ。菊宮さんに素敵なドレスを着せてあげたいし』
そんなことを考えてくれていたのだと、私は携帯端末を握りしめながら彼の優しさを実感した。
『でもそのあと、家を買ったりすることも考えると、あまりお金を使わない方がいいかなとも思っていて……ケチな男でごめん』
彼が申し訳なさそうに声のトーンを下げる。
彼の言っていることはもっともで、ケチだなんて思わなかった。『そんなことありませんよ、堅実なんですね』とフォローする。
『せっかくだから菊宮さんの晴れ姿をみんなに見せたいし、友達にも祝ってもらいたい。でも俺の給料だけだと、控えめな式にするしかないかなって』
記念なのに、と彼は名残惜しそうに言う。
私は『ふたりで働いているんですから、少しくらい豪華にしても大丈夫じゃありませんか?』と背中を押した。ここで節約して後で後悔したら悲しいもの。
彼は『家のローンはすべて自分が組む。住居費は任せてもらって大丈夫だから、結婚費用の二百万円だけ用意してもらえないだろうか』と私に提案してきた――。