迷彩服の恋人
――ガチャ。

「ただいま、望月さん。」

「土岐さんっ…!おかえりなさい。」

私は気持ちの赴くまま、土岐さんに抱きつく。

「おっと…。望月さん…。」

「ごめんなさい、いきなりハグなんて…。でも、土岐さんに会いたかった…。」

「姉ちゃん、やる〜!」

「はは、弟さん見てますけど…あったかくて離せないですね。疲れが一気に飛びました。僕も、早くあなたに会いたかった…。ミサンガ、切れたので…願い事叶えに来ました。」

土岐さんの願い事……。
私と〝同じ願い事〟でありますように!

そこで一旦言葉を切り、私の頬に手を添えて顔を自分の方に向けさせた後、真剣な眼差しで…彼はこう告げる。

「望月…いや、都さん。好きです、付き合って下さい。普通のカップルのようにはなかなか会えないし、寂しい思いもさせるけど…。一緒にいる時は甘えて良いし、"1人時間"満喫も歓迎です。」

「はい、喜んで!土岐…いえ、真矢さんの彼女にして下さい。」

「…都〜。家の前なの、分かってるか〜?」

「わぁ!お兄ちゃん!?何しに…。」

「母さんから『陽那(ひな)の忘れ物がある』って電話あったから取りにな。…3人もいつまで見てんの、入ってもらえよ。」

姪の忘れ物ね。ビックリしたー!
兄の一言に、両親もやっと動き出す。

「あっ、自分は2人を送迎しただけなので、ここで失礼します。」と言い、隊員さんの1人は帰っていった。

そして、真矢さんと志貴さんは家の中へ。

「…そうか。娘を助けてくれた相手が、娘の〝想い人〟で自衛官だったとは。災害派遣の任務、お疲れ様でした。…台風のニュースを見る度、君の身を案じていたんだろうな。…最近誰かに会っていて、その相手のことを想っているんだろうとも薄々は気づいていた…。」

「お父さん…。」

「頻繫には会えないんだろうし、今夜は時間のことは気にせず朝まで2人でゆっくりしてきなさい。」

それって……。 お父さんっ!

「あなたっ!」

「結婚を急かしたのは母さんだし、都はもう…いい大人だ。」

「お父さん、ありがとう。でも…出掛ける前に1時間ぐらい眠りませんか?真矢さん。」

「ありがとう、僕のために。」

そして先輩達を見送った後、彼が私のベッドで眠る直前に「おやすみなさい。」と、私からキスをした――。


-了-
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