雨が降る丘。
あたしは義兄さんがいる。

やさしい兄さん。

血のつながりはない。

あたしは病弱だ。

いつものように薬を飲むと和室の布団に横になる。

良一さんが帰ってきた。

サラリーマンをしている。

あたしと良一さんは少しずつ会話している。

会話は重い海から引きずり出すようだった。

「熱が出そう」
「大丈夫か?」
「平気」

良一さんはサラリーマンをしている。
でも良一さんには好きな人がいる。

あたしの姉だ。

姉は亡くなっている。四年前に。
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