メルティ・ナイト
「あの、赤坂さん……?」
わたしの声にぱっと顔をあげた赤髪の彼。
やっぱり綺麗なお顔だなあ、なんて余裕の思考はここまで。
わたしをじっと見つめてから、数秒の沈黙のあと、赤坂さんは口を開いた。
「あのさ、すずかちゃん。ここ、女の子ひとりもいないよ?」
……おんなのこ、ひとりもいない?
「えええええっ?!」
あまりの衝撃事実に目を見開く。
え、ちょっとまって、え?!
女の子がひとりもいない=マオちゃんがいないってことだよね……?
急激に頭が真っ白になる。
うそ、じゃあわたしがここに来た理由はいったいどこに……。
あぜんとするわたしに向かって、赤坂さんは苦笑している。
女の子がいないって、そんなの……、男子校でもないのになんで?
「でもわたしっ、校長先生から共学だって聞きました」
そう、これもまた転入前のお電話のとき。
お話が終わって切ろうとしたときに、校長先生が思い出したように付け加えた言葉。
『男子校みたいに男の子だらけだけど、共学だから安心してね』