メルティ・ナイト
なんとも掴めない人だと思うけれど。
逃げるか逃げないかは自分で決めろ。
いまなら尻尾を巻いて逃げても後腐れないよ。
そう挑発されているような表情に、わたしだって負けじと口を開く。
「わたし、ロン高がそんな噂のとおりなんかじゃないって、証明してみせます」
思わず力んで声が大きくなってしまったのは仕方ない。
当の赤坂さんは、わたしが挑発にひるむと思っていたのか、意外そうに片眉をあげている。
途端にこめかみに汗がにじむ。
ちょっと生意気な言い方になってしまったかも……っ!
なにもこんな、この学校に通ってる人に言うことじゃなかった。
しかも、赤坂さんを敵に回すようなことはしたくないのに……。
心配になって視線を彷徨わせていると、赤坂さんは堅い表情を崩して面白そうに言った。
「へえ、強気な女は嫌いじゃないよ」
赤坂さん、それは、褒めてますか……?
「……ううっ、生意気ですみません」
「いやそんなことないよ。でも、本当に後悔しても知らないよ?」
「だ、大丈夫です!赤坂さんや校長先生と仲良くなれたし……っ!」