メルティ・ナイト




「マオちゃんは、……本当に笑顔が素敵で、芯が通っていて、なによりもこんなわたしを親友だって言ってくれた女の子なんです」



保育園の頃のわたしは、いまよりずっと大人しかった。

たくさんの人と話すのは得意じゃなくて、マオちゃんだけが唯一心を開けた友達で。



『ねえねえ、すずかちゃん。あたしと遊ぼう!』


出会った頃のことはあまりハッキリと思い出せないけれど、彼女から声をかけてくれたのは確かだ。


明るくて笑顔を絶やさない太陽みたいな女の子。

社交的でないわたしとは対照的にマオちゃんは、年下の子どもたちともよく遊んだり、面倒を見ていたりしていた。


そんな彼女が、ずっとずっと憧れだったんだけど……。




ある日、わたしがお父さんの仕事の都合で引っ越すことになって。

泣きながら、これからは離ればなれになる、とマオちゃん伝えた日。








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