メルティ・ナイト
ため息をつく赤坂さんから目線を外し、茉央さんはわたしに目を向けた。
「ん、転校生?」
外見はクールで冷たい雰囲気があるけれど、意外に優しい口調なんだなと呑気に思う。
遠慮ぎみにうなずくと、茉央さんはたいして興味もなさそうに首を縦に動かした。
そんなわたしたちのやりとりを眺めていた赤坂さんは、わたしと茉央さんを交互に見つめて、疑問を投げかけてくる。
「ちなみにおふたりさん、面識ないよね?」
その言葉に、茉央さんと視線を交わす。
じっと見つめるけれど、もちろんこんな綺麗な人と出会っていたら忘れるわけないから、いままで会ったことはないと思う。
茉央さんも心当たりがないようで、ふたりそろってうなずいた。