メルティ・ナイト
「あ、すずかちゃん。そういえば、こいつら紹介してなかったね」
思い出したように手をつくと、優しく気を回してくれる。
わたしが窮屈にしていたのを感じたのかもしれない。
よく周りが見えているなあ……。
そういう気配りができるところは、どこか生徒会長のような雰囲気を醸し出していると思った。
赤坂さんはまず、わたしの前に座っていた猫目の男の子の肩を抱き、紹介してくれる。
「この茶髪猫目は藤沢楓。誰に対してもフレンドリーだけど、可愛い女の子には目がないから気をつけてね」
「うわ、だから美六クンに言われたくないってば」
拗ねたように頬を膨らませる楓さん。
さきほどと同じくだりになりそうなところを、赤坂さんは大人の対応でかわす。
「まあいい奴だから、仲良くしてやって」
こちらこそという意味でコクリとうなずくと、嬉しそうに楓さんは目を細めた。