メルティ・ナイト
見かねた茉央くんが、後ろから声をかけてくれる。
「まちがってはないけど、俺らはまだ治安が良いほうの族だから」
暴走族のなかでも、治安が良いほう……。
あまり信用性が高くない言葉に目が回りそう。
そちらの世界のことはまったくわからないから、本当に理解が追いつかない。
それに、そんな危ないことをしているだなんて、みんなは平気なのかな。
暴力沙汰なんて日常茶飯事だろうし、わたしが思いつかないような危険なこともしているだろう。
彼らにはそれぞれ、夜の世界に入り浸る理由があるけれど。
転入生のわたしに優しくしてくれるみんなが、人を殴ったり傷つけているところは見たくないと思ってしまった。
まだ理解には時間が必要だなあ……と考えていると、再度茉央くんが口を開いた。