身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
「あ……」
少し前に、今日の飲み会のお誘いを受けていた。病棟看護師が主催しているもので、夜勤のサイクルに入っていない人は声をかけられている。
保留にしておいてすっかり忘れていたことにどきりとした。
「そういえば今日だったね。今日は……明日、早くから予定があるから、遠慮しておこうかな」
「そうか。じゃあ、そう言っておくよ」
「うん、ありがとう。またの機会に」
あまり大きな声では言えないけれど、飲み会の席というのは得意ではない。立場的に勧められたら飲まなくてはいけないし、そこまでお酒に強いわけではないから無理をする羽目になる。
お酒を飲むなら、自分のペースで飲みたい量をのんびり飲みたい派だ。
「明日早いって、また絵でも描きに行くのか」
私の断りの理由を聞いた遼くんはフッと笑う。朝早い、というところで私の予定を察したのだろう。